投資用賃貸アパートを事故物件にしないために

せっかく借金までして購入した投資用賃貸アパートでも、殺人や自殺で事故物件になってしまえば、家賃低下や空室増加によって、投資効率が格段に下がります。
我々大家さんには本当に理不尽な話なのですが、事故物件になってしまうリスクをなるべく無くすにはどのような対策があるのでしょうか。

殺人事件現場となってしまった悲劇のアパート

今年9月30日、2017年10月に神奈川県座間市のアパートで若い女性ら9人の遺体が見つかった事件で、強盗殺人などの罪に問われている白石隆浩(29)被告の裁判員裁判の初公判が、東京地方裁判所立川支部で始まりました。身も凍るような恐ろしい事件に、当時は本当に身震いがしました。
お亡くなりになられた被害者の方は、もちろん大きな悲劇となったわけですが、また違った形で不運に見舞われた人がいます。それがこの事件の現場となったアパートの大家さんです。

今回のような事件があった物件は事故物件とか心理的瑕疵物件と呼ばれ、大家さんにはかなりのダメージが出ます。このような事件があった場合、まず間違いなくこのアパートの賃料は下がります。すでに住んでいる住民は逃げ出し、新規入居者もほぼいなくなるからです。

ただ、この座間のアパートは駅から徒歩10分で、築30年のため家賃22,000円~25,000円の激安物件。3000円値引きして1年後も退去者0だったそうです。。
ちなみに白石容疑者の部屋は、以前にも孤独死があったようで家賃19,000円でした。そして、なんとこの部屋に家賃11,000円で現在入居者がいるとのこと。いや~いろんな人がいるものですね(;゚Д゚)

まあ、一般的にこのような物件は、築30年も経っていれば解体してしまう大家さんもいるでしょう。ただ、壊して土地で売るにしても、このような因縁付きの土地は売れないか、かなり安く買いたたかれます。そのまま保有していても固定資産税を安くしてくれるわけもありません。となれば無難な駐車場経営などに落ち着くのでしょうね。

本当に大家さんにとっては、殺人事件や自殺は、とばっちり以外の何物でもないのです。

事故物件の種類

さて、いわゆる事故物件といわれるものにはどんなものがあるのでしょう

殺人、自殺などはもちろんそうですが、最近では孤独死で日数が経っていた時なども該当するときがあります。さらに火災があったり、部屋の中での事故死、屋上から飛び降り自殺があったり、殺人犯が住んでいたなどという場所も該当するでしょう。

これらは、その影響があると推測される期間は、宅建業者は重要事項として説明する義務があります。よく、事件から数ヶ月だけ事件に平気な人をタダで住まわせて、そのあとは説明無しで契約するという業者や大家がいますが、あとで大問題になる可能性大ですね。あまり安すぎる物件は、ちゃんと理由を質問したほうがよいかもしれません。

ここで注意しなくてはいけないのが、いわゆる”幽霊”などの心霊現象です。

これらは法的には心理的瑕疵物件の範疇には入るかどうかは微妙で、事実かどうかが判断できず、風評被害にもつながるので、不動産屋はこの説明はまずしないと思ってください。霊感が強い人は要注意ですね。

事故物件になると掲載されてしまう恐怖のサイト

最近よくテレビでも話題に上がっているのが、「大島てる事故物件サイト」です

事故物件が物件名や写真まで載っており、他人事で見ている分にはおもしろいですが、大家さんにとっては半永久的に残るので、迷惑なサイトです。また、単なるウワサなども掲載しているため、風評被害を受けている物件もたくさんあると思います。

あと、SUUMOなどの物件情報サイトでもわざわざ「事故物件で探す」のページができています。理由はともあれ、とにかく安くて良い物件を探したいならここを利用するものいいですね。

事故物件への対処法

さて、このような事故物件が発生すれば、大家さんや管理会社はどのようにすればよいのでしょうか?全面リフォームをして、事件のあとを一切残さないというのはもちろんですが、その改修工事費や空き室になってからの金銭問題です

金銭的解決の多くは、犯罪者や自殺者の家族、連帯保証人に対し、損害賠償を請求する方法です。
しかし多くの場合、加害者家族は姿をくらましますし、自殺者も貧困が原因だったりするため、その家族も余裕がない生活をしており、賠償金などとても払えないというケースがほとんどと思われます。

結局は大家さんの泣き寝入りになるのですが、それでもその部屋を貸さねば破産してしまいますから、我慢して格安で募集をするしかないのです。東京など、人口が増え続けるエリアであれば借り手はいると思いますが、香川のように人口減が激しく、空き家が急増している地方では、一度事故物件になると再度入居者を入れるのは至難の業といわざるを得ません。

物件を解体せずに、そのまま運用するということであれば、まずはお祓いなどをきちんとしたうえで、事件が気にならない学生や貧困層などに安く貸し、年月を重ねて、人々の記憶が薄れるのを待つしかないと思います。

事故物件にしないために大家さんができること

たいへん差別的な言い方になるかもしれませんが、悲惨な事件が起こるのは大抵、家賃が安い物です。そこには貧困からの苦悩、金銭トラブル、崩壊した家庭、高齢者や病人の孤独死などが高確率で起こりやすい環境があります。

冒頭の9人遺体遺棄で逮捕された白石容疑者のアパートは家賃19,000円で、以前にも孤独死があって安くなっていたとのことなので、あえて激安の部屋を探して入居したと思われます。安すぎる部屋は、犯罪者を寄せ付けやすいのです。

さて、事故確率を少しでも下げたいのであれば、投資不動産を購入するときに、比較的高い家賃が取れる物件を選ぶことです。つまり家賃3万円が10室で30万の収入物件なら、家賃6万円が5室のほうが事故物件にはなりにくいということです。

また万が一、孤独死や自殺などが起こってしまってからの対処ですが、一部の損害保険会社で、空室や原状回復期の家賃を保証してくれる保険を扱っているそうです。年間数万円の掛け金で、リフォーム代や家賃保証などで300万円くらいまで支給されるそうです。

アイアル少額短期保険
オーナーズ・スタイル

事件を起こしそうな不審者をシャットアウトする方法として、オートロックなどがありますが、他の入居者のあとについて堂々と入ってくる輩や、宅配便を装う犯罪者もいるので完ぺきではありません。
同様に共用部分での監視カメラもありますが、これも事件後の犯人特定には有効ですが、予防にはあまり効果がないかもしれません。

孤独死に関しては、安否確認システムを利用する方法があります。最近では、身に着けておくだけで、心臓が止まったりしたとき、また一定時間部屋の中で動きが無いときなどに通報がいくなど、ITを使用しての予防が可能になりつつあります。

セコム・ホームセキュリティ

まとめ

事故物件は大家さんにとっては不可抗力のものですが、大家と借家人、隣人どおしの連携で、これらの事件は未然に防げるかもしれません。みなさんが事故物件の被害者や加害者にならないよう、少しでも気になることがあれば、管理会社や大家さんに連絡するようにしましょう。

2018年にラジオ「まるごとえいじのコーナー」で話した内容です。

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