土葬のお墓を掘り起こして、怖い思いをした話

地方に行くと、つい最近まで土葬(火葬場でご遺体を焼かずに、大きな木桶や甕「かめ」に入れて埋める)をしていたお墓が結構あり、今でも一部地域では風習で土葬が残っているらしいです。
石材業者は、その土葬のお墓を、墓じまいや別の墓地への改葬、新しいお墓に作り変えるなどで、どうしてもお骨を取り出さねばならないときがあり、そのような時は少しドキっとする体験をすることがあります。私が実際に体験した少しブルった話をご紹介したいと思います。

土葬のお骨はどのような状態で埋まっているのか?

土葬のお骨はどのような形で埋まっているかというと、私の住む香川県では、ほぼ3種類です。

①仰向けで寝ているような伸身型
②木桶に屈伸して入った桶型
③大きな甕に屈伸して入った甕型

①や②はご遺体が早く腐敗するので、数十年で肉部分は無くなっています。しかし、焼かないお骨は結構残っており、特に大腿骨などの太い部分はきれいな形で存在しています。作業時には強烈な悪臭がするので、できれば夏は避けたいところです。
一方③の場合は、フタがあり、すき間が密閉されているため、甕が割れてない場合は、そのまま埋まっています。

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土葬のお墓 お骨掘り出し作業の注意点

さて、実際に作業となれば1.5m以上は土を掘り出す必要があります。伸身型や木桶の場合は、穴の中に職人が入り、お骨を一つ一つ拾うのと、臭いもあるので大変な作業になります。焼骨と違い、生のお骨はしっかりしており、大腿骨などはそのまま長いものが残っているくらいで、人体一人分は結構な量になるのです。


また、地中の土は地震や地下水の影響で動いており、ご遺体自体が移動して、墓石の真下に無い場合もあり、周辺を堀り直して探しまわることも。
さらに隣の墓石と間隔が無い場合は、隣の基礎が傾く危険性もありますので、かなりの注意を必要とします。

甕の場合は、お骨がバラけていることはなく、重いので大抵はお墓の下から動いていません。甕の周りを掘ってからクレーンや三又などで吊り上げるのですが、道具を使うだけにある程度の広さがある墓地でないと難しいです。

以上のように土葬のお骨を掘り出すというのは、かなりの作業量であるため費用も高いのです。
ですので、解体した古いお墓と同じ場所に新しいお墓を建立する場合は、お骨を掘り出さずに新墓の基礎下に埋めたままにすることが多いです。
しかし、お墓を移転したり、墓じまいをする場合はお骨を取り出さねばなりませんが、お墓が並んでいて狭い墓地などはどのようにしたらよいのでしょうか?

お骨が取り出しにくい土葬墓の場合

狭い墓地の場合は、1mも掘ると隣のお墓の基礎がむき出しになり、傾いてしまう可能性があります。墓地管理者の承諾がもらえるなら、ご先祖様は土に還っていただいたという意味で、お骨はそのまま埋めておき、墓石下の土のみ少し採取し、骨壺かさらし袋に入れて、次の納骨場所に納めるというのが良いと思われます。

撤去後の墓地は管理者に返還されますが、最近のお墓の納骨室(カロート)は30㎝ほどしか掘らないと思いますので、再販されて新墓が建つとしても、埋まっているお骨が出てくることは無いのではないでしょうか?

甕の場合は多少事情が変わってきます。甕を壊せばお骨が内部にかたまっているため、散らばっているお骨を拾うよりは取り出し易い。また、掘る面積もフタの直径程度で良いので隣のお墓にも迷惑をかけにくいのです。ただ、この場合もお骨取り出し後の甕は、割って埋め込んでしまうことが多いと思います。

土葬のお骨でドッキリしたこと (食事中は要注意!)

ご遺体が溶けていた!

甕に入っている場合はフタをして密閉していることが多く、この場合はバクテリアの侵入が妨げられているため、ご遺体が腐敗していないときがあります。
私が経験した大きな甕の場合は、肉部分が腐敗せずに液体状に溶けていました。甕を吊り上げてフタを開けて傾けると赤色を含んだ肌色のドロドロの液体が出てきました。腐敗してないので、臭いはないのですが、視覚的にかなりショックな光景でした( ;∀;)
骨や髪の毛は甕の底にこびりついており、50年以上経っていてもきれいな色や形をしていましたが、しばらく肉を食べる気がしなかったです。

靴下を履いた足が残っていた⁉

木桶に入った土葬墓を掘っていた時のこと。穴の中に入ってお骨を拾っていた職人が「うわーっ‼」と悲鳴を上げました。なんと靴下を履いた膝から下の足が出てきたのです。
私の隣で作業を見学していたお施主様が一言。
「あぁ、おばあちゃん、義足だったんよ。」

100年前の土葬のお骨に”脳”がそのまま残っていた

甕のお骨は腐敗してないことが多いと書きました。ある田舎の墓地で甕を割って頭蓋骨を取り出した時のことです。頭蓋骨などは水道できれいに洗うのですが、職人が「汚れが落ちない」と私を呼びました。見ると汚れではなく、頭蓋骨の中に脳みそがゴムのように固まって残っていたのです。血管やシワも、ホルマリン漬けの標本のようにはっきりと見えました。
子孫のお施主様は東大卒なので、ご先祖様もさぞ脳みそが大きかったのかなぁと変に納得しました。

土葬のお骨はそのままがよい

これは私の考えですが、土葬のお骨はそのまま地中に眠ってもらったほうが良いと思います。
取り出しても納骨堂などに持っていく場合は、消毒のためバーナーなどで焼却せねばならず、土に還る機会もなくなります。よほどの田舎でなければ、祖父母くらいは火葬していると思うので、直接知らないご先祖様はそのまま静かに自然に還してあげましょう。

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