今の世の中、コロナウイルスによる影響で、感染者の多い都会から地方へ帰省する人が激減しています。もちろん、お墓参りも同様で、親戚に頼んだりお墓参り代行を利用せざるを得ない人が多く、今までのお墓参りスタイルが大きく変わろうとしています。
今回は、お墓をめぐって今起きている現象と、コロナが収束してからどのように変わるのかを私なりに予想してみたいと思います。
高齢者の多い地方へは帰省できない
コロナ感染が拡大中の現在は、東京や大阪などから地方の田舎へ帰省するのを自粛する人が多いようです。それは、もし自分や家族が感染していたら高齢の両親にも感染させてしまい、それが元で亡くなったとあれば一生悔やむことになるからです。
また、田舎ほど噂の拡散が早いので、”〇〇さんところの息子夫婦が東京から帰省しとる”となれば、両親が嫌がらせを受けたり、コミュニティへの参加を断られたりします。帰省して、旧い友人に会おうにも断られたりするケースもあるでしょうし、なにかと邪魔者扱いされる可能性が高いのです。
更には田舎で発症しようものなら、訪れた病院・飲食店・交通機関などが消毒作業や営業停止となり、しかも現地の感染者数にカウントされ、関係のない人からも恨みを買う恐れがあるのです。
親戚に頼むよりも、お墓参り代行業者への依頼が増加
以上のような理由で、地方への帰省は未だ自粛されているのが現状ですが、お墓参りは皆さんどのように行っているのでしょう。親がご健在な家庭は、もちろん親だけで行ってくれますが、老人施設に入っていたり、すでに亡くなっている場合は、自分が行かないとそのままになってしまいます。
昔ならば親戚が好意で行ってくれたりしてくれましたが、若い世代になると、親戚とはいえ手間とお金がかかることはしてくれないのが実情です。わざわざお願いしても、それ以上の手土産や現金を送っていたら、むしろ割高になってしまいます。
うちの会社でも、春のお彼岸以降お墓参り代行が増えている理由は、料金が事前にはっきり分かり、気を遣わなくてもよいところにあると思います。
テレワークの拡大で、地方に移住する人が増える?
人材サービス大手のパソナグループが、兵庫県の淡路島に本社機能1200人を移転させると話題になりましたが、全国的にこのような流れが加速するのでしょうか?また、私の住む四国にも同様の現象が起きるのでしょうか?
私の予想では、いくらかは地方移住の流れになるが、東京一極集中は変わらない、と思っています。
それは、政治機能や行政機能の中心が東京から動かないからです。官公庁自体は縦割りではありますが、それらと連携や交渉する民間企業からすれば、なるべく集中していてくれたほうが効率が良いからです。
また、テレワークといっても本社は東京に残したままのところが多く、月に数度は東京に通うとなれば移住するにしても神奈川・埼玉・千葉・茨城あたりの東京近郊圏に限られてくるでしょう。また、東京のマンションなどが安く売りだされたり、家賃が下落すれば、反対に都内に住みたかった人が流入してきますので、結局は東京の人口は減らないことになると思います。
さて、もし移住するとすれば四国は選択されるのでしょうか?
かつて東京に住んでいた私の感覚では、四国に実家があるとか、よほど四国が好きな人以外は、わざわざ遠方には来ないと思います。ただ、実家に戻るという人には、親の介護が可能になったり、家賃が不要になったりとメリットは大きいですし、お墓も近くにあるので、お墓参りも難なくできるようになりますね。
墓じまいはまだ増加するが、一方で納骨堂の問題点も浮き彫りに
テレワークの普及によって、故郷に帰ってきて仕事をし、お墓も継いでくれる人が多少増えるかもしれませんが、もはや日本人のライフスタイルが変わり、お墓参りというイベントが重要で無くなりつつあります。
春秋のお彼岸、お盆や命日など、お墓に行く機会はたくさんありますが、若い人のほとんどが年に1度くらいのイメージではないでしょうか。
お墓は雑草も生えれば、立ち枯れも汚くなるので、墓じまいをして手間のかからない納骨堂にお願いするという考えも良く分かります。しかし、墓じまいや納骨堂はここ10年ほどのブームであり、後々困ったことになることに、皆さんあまり気づいてないようです。
それは、納骨堂にはスペースに限りがあることです。墓じまいをすれば、大きな骨壺に先祖の骨を詰め込みます。その大きな骨壺はロッカーのような納骨堂スペースの大部分を占領し、ご両親の骨壺が入ると一杯になってしまい、いざ自分のときにスペースが無いということになりかねません。
もちろん、そのような寺社は合祀墓も併設しており、旧い先祖の骨はその中に移すことで、納骨堂スペースをまた確保できるのですが、いずれは自分も赤の他人と一緒にされて、家族バラバラになると思うとちょっと寂しい気もします。できればかわいい孫と一緒に納まりたいですよね。
あと、最も怖いのは、納骨堂運営をしている寺社や法人の倒産廃業です。実際に大阪の納骨堂運営会社が倒産し、お骨もそのままにされ、遺族が途方に暮れている事件がありました。今後コロナショックで経済が疲弊してきたとき、同じケースが起こらないとも限りませんので、納骨堂を選ぶときはしっかりと経営母体を調査することです。
お墓の有利な点も見直される
一方で石のお墓というものは、納骨室(カロート)が一杯になれば、骨壺から取り出して骨だけ室内に撒くことで、徐々に土に還すことができます。よって、墓石本体が壊れない限り半永久的に使用ができるので、掃除などの手間がかかる分、経済的でなおかつ家族のみでご利用可能なものなのです。
更に墓地の管理をしているところは、行政か寺社が多く、倒産廃業などのリスクはほとんど0と言ってよいでしょう。ただ、墓地の権利は永代使用権(所有権ではない)であり、承継者が管理費を払うなどで使用を続ける場合は守られますが、管理費を払わなかったり、承継者がはっきりしない場合は強制撤去される場合がありますので注意が必要です。
今はまだ納骨堂のスペースに余裕がありますし、運営法人の廃業などのは問題化してませんが、もうあと10年もすれば何らかのトラブルが表面化してくるのではないでしょうか。
まとめ
コロナの影響があってもなくても、全国的にお墓参りをする頻度は下がっており、それが墓じまいブームにつながっています。しかし、お墓は原始時代から世界各国で作られてきた人間の営みであり、それなりの意味があってのことなので、単なるブームで消失するものではありません。
納骨堂にするか海洋散骨にするか、樹木葬にするか、今は亡くなってからの選択肢も多岐にわたりますが、マスコミの無責任な”墓じまい”報道に惑わされず、子孫にとって何が一番幸せなのか、をよく考えてどのように供養されたいか、をご判断されたらと思います。
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