不動産取引を我々宅地建物取引士が行う場合、契約書に署名捺印をする前に、必ず重要事項説明書を対面で説明をし、買主に承認した旨の署名捺印をいただかなくてはいけません。
その重要事項説明書の項目に今年8月より水害リスクを加えることが義務付けられました。
水害リスクの説明義務が加わった改正の背景
ここ3年ほどの豪雨や大型台風による水災害の頻発を受けて、売買や賃貸の不動産取引時に、水防法第15条3項に基づき作成された水害ハザードマップを活用して、水害リスクを説明することが今年8月28日施行で実施されました。
ここで言う水害とは、洪水・雨水出水・高潮のことを差します。
洪水とは大雨によって河川が氾濫すること、雨水出水とは大雨で下水道や排水施設から水が氾濫・逆流すること、高潮は台風や大地震の際に海からの津波や高潮で浸水することを言います。
ハザードマップについて
市町村によって水防法に基づいたハザードマップが作成されておりますが、年代が旧かったり、すべてが揃っていなかったりしています。しかし、水防法も平成27年に改正されたり、今回の重要事項説明義務も7月に急に決まったりで、各市町村も新規作成や更新が追い付いていない箇所もあります。
また、河川氾濫については、川ごとの浸水想定図になっていますので、近くの川で調査することが重要です。
香川県では、その他、ため池ハザードマップも作られてますが、水防法の範囲には含まれていないため、不動産取引の際の重要事項説明義務はありません。
とは、言うものの大雨が降れば、ため池も氾濫して大災害になるので、不動産を購入する場合などは自分で確認することをお勧めします。
不動産取引における重要事項説明書とは
不動産取引の重要事項説明書とは、売買や賃貸の契約をする際に、事前に物件の詳細や注意事項を宅地建物取引士が説明し、買主または借主に説明したことを証明するハンコをいただく書類です。これは宅地建物取引業法第35条に規定されているので、業界では「35条書面」とも言われています。
今回の水害リスクは、重要事項説明書に項目が追加されているので、もし、重要事項説明書に入ってなければ宅建業者にその旨を指摘してください。7月に急に決まり、8月から施行されたので、改正されたことを知らない業者もいると思われます。
水害安全エリアとは
実は、香川県下で、水害から逃れるための安全なエリアはあまりありません。というのは、河川が多い上、河川が無いところでは、ため池が存在するからです。
また、田んぼも多いため、川や池より土地が低くなっており、水が流れ込みやすい。しかも、坂出市や宇多津町に関しては、遠浅の塩田があったくらいなので、海岸と高低差があまりなく、津波や高潮の影響を受けやすくなっています。
これから土地を買う人は、土砂災害リスクのない緩やかな高台が良いかと思います。家を建てる人は、基礎や床下をなるべく高めにして、中古戸建を買う人は、寝室は2階にするなどの対策が必要ですね。分譲マンションならほぼ大丈夫ですが、水害危険エリアの賃貸アパートなら2階以上のほうが比較的安心です。
水害危険エリアの不動産はどうすればよいのか
今後は、水害危険エリアは不動産取引のたびに重要事項で説明され、露呈します。
よって、今後これらの不動産価格はより下がってくると思われ、危険区域と安全区域の価格差は、ますます拡がることでしょう。
万が一、川や池が氾濫して大災害が起これば、その不動産は数十年は売れません。もし、危険エリアの不動産を手放すつもりの方は、早めに処分されることをお勧めします。
また、相続などで使用しない田や畑があり、それが海や川、ため池の横にある場合なども、隣接する農民の方に買ってもらう、宅地に転用して売却してしまうなどの対策をお勧めします。
売却のご相談は、ぜひ竹田石産(有)不動産部へどうぞ。
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