民法(相続法)改正について | 配偶者に優しくなりました。

近年、民法改正が話題にあがっています。民法は、明治29年(1896年)に制定されましたが、債権関係の規定(契約等に関わる部分)については、この120年間でほとんど改正されていませんでした。
また、今回説明する相続法については、昭和55年に改正されて以来となりますので、約40年ぶりの大改正となります。
今回の相続法改正では、配偶者の権利を守ることに重きが置かれており、皆さんにも関わる事柄があると思いますので、最後までお読みいただければと思います。

スポンサードリンク

民法(相続法)改正の概要

相続法に関するものは40年ぶりの大改正であり、大まかには上記にある6つの項目があります。
この改正が行われる元になったきっかけは、非嫡出子と実子の法定相続分が違うのは憲法違反だという平成25年9月の最高裁判決です。

今回の改正では残された配偶者や身の回りの世話をした人など、相続において弱い立場になってしまっていた人に優しい内容となっています。

以下、私が重要と思っている項目から詳しく説明させていただきます。

配偶者の居住権を保護するための方策

亡くなった人と同居していた配偶者が、そのままマイホームに住み続けられるための法律です。
権利は、居住権と所有権に分けられ、居住権は他人に譲渡はできないが、貸すことなどで収益をあげることは認められています。また、所有者の承諾があれば、増改築も可能です。

配偶者短期居住権

遺産分割確定まで、または相続開始から6カ月間、もしくは配偶者以外が相続する場合に「出ていけ」と言われてから6カ月間は居住権が保証されます。
実の母親を追い出す子がいるとは考えたくないですが、継母などで親子の仲が悪い場合だとあり得るケースです。でも故人の配偶者は最低でも6カ月間は住み続けることができます。

遺産分割で配偶者保護のための方策

居住用不動産の持ち戻し免除のこと。持ち戻しとは、生前にもらっていた財産や遺贈(死亡と同時にもらった財産)を相続財産に加えること。これが、配偶者が取得したマイホームは対象から外されることになります。ただし、婚姻期間が20年以上が条件です。

自筆証書遺言の方式の緩和

今までは遺言は必ず自筆で書き、添付する財産目録も例外ではありませんでした。しかし、今回の改正で、パソコンで作成した財産目録を添付したり、預金通帳のコピーや不動産の登記事項証明書の添付でも可能となりました。

ちなみにこの遺言は、法務局で保管してもらえることにもなり、今までは自宅で保管するか弁護士に預けるかでしたが、紛失・偽造などのトラブルを避けるために保管方法も改正されました。

相続人以外の者の貢献を考慮するための方策

亡くなった人の療養看護等を行った相続人でない親族(息子の嫁など)が相続人に対して特別寄与料を請求できることになりました。
苦労ばかりして、相続財産が全くない(夫には入りますが)というのも酷だからです。

遺産分割協議までの生活費引き出し、仮払いが可能に。

今までは、死亡が確認されると金融機関の口座が凍結され、それによりたちまち資金難になるケースがありました。これが一定額に関して、共同相続人の同意なく生活費や葬儀代金が引き出せることになりました。
また、家庭裁判所の認定で預貯金の全部または一部が仮払いもできることになっています。

以上、詳細については政府広報オンラインにイラスト入りで詳細が掲載されておりますので、ぜひご参考ください。

不動産の契約では、債権法改正も重要

今回の民法改正は、250項目以上もの改正が行われますが、相続法以外に債権法も改正されており、不動産契約においては、こちらがかなり重要になってきます。

債権法改正では、①わかりやすく ②一般的に使用する用語で ③現実社会や経済活動の変化に対応し ④国際的取引ルールとの関係で整合性を図る
といったことに注力して作られたようです。

また別の会で詳しく書きたいと思いますが、不動産を売買・賃貸する場合は、改正後の法律となっていますので、念のため不動産屋さんには契約書や重要事項説明書が最新のものかご確認ください。

Youtube「まるごとえいじのコーナー」もご参考ください。
スポンサードリンク
created by Rinker
¥3,960 (2024/12/10 00:54:50時点 楽天市場調べ-詳細)

コメント

タイトルとURLをコピーしました